ハンターハンターの「水見式」オーラ系統診断とは?
週刊少年ジャンプで連載中の富樫義博先生の大人気漫画『HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)』に登場する念能力のオーラ系統を判別する診断方法「水見式(みずみしき)」を考察していきます。
作中の生命エネルギーを用いる特殊能力「念能力」、オーラ系統診断「水見式」を解説します。水見式とはハンターハンターに登場する、水の入ったグラスを使い、念能力者が自身の属するオーラ系統を判別する際に用いる方法です。ヒソカによる性格分析や元ネタと思われるオーリングテストについても説明します。
念能力とは
念能力とは何か?
念能力は、HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)において作中で描かれる主人公の成長やキャラクターのパーソナリティ、全体のストーリーや、展開されるバトル、駆け引きを楽しむ上で最も重要な概念の一つです。
人間が身体から発するエネルギーを「オーラ(念)」といい、それを自在に操作・増減する能力を「念能力」と呼ぶ。肉体と精神に深く結びついた念は、まさに人間の総体的なパワーと言えよう。これまで修行なしで念を修めた人間は皆無に近く、奇跡的に念を使えた人間は「仙人」「超能力者」「超人」などと崇め称された。念はそれほど特別な能力なのである。また、偉大な芸術家の作品に念が残留していることもあるという。
念能力者
ハンターハンターの世界において、オーラは全ての生き物が持っています。それを自在に操る技術を念能力といい、念能力を習得した者を念能力者と言います。ハンターハンターに「強者」として登場するキャラクターのほぼ全てが念能力者です。
念の修行の基本「四大行」
念の最も基礎的な要素であり、念の修行の基本である「四大行」について簡単に説明しておきます。
- 「纏(てん)」オーラを肉体にとどめる
- 「絶(ぜつ)」オーラを完全に絶つ
- 「練(れん)」オーラを増幅する
- 「発(はつ)」オーラを放つ
纏 | 通常は垂れ流されるだけのオーラを身体に纏い、とどめることで、肉体の強化や老化の停滞といった効果が得られます。 |
絶 | 精孔を閉じて、身体から微量に漏れ出る自然なオーラを絶つことで、存在感を薄め気配を完全に消したり、疲労回復を図ったりといった効果が得られます。 |
練 | 纏ったオーラを練り上げることで、オーラを精製・増大させる技術であり、練の精度はその念能力者の潜在能力や基礎体力に相当し、念能力者の強さのバロメーターとも言えるでしょう。 |
発 | 念の基礎技能の最終段階です。練ったオーラを自在に発する、各キャラクターのいわゆる必殺技にあたり、練を極限まで高めるといったシンプルなものから、複雑な手順やルールで発動するタイプまで様々です。 |
6つの念系統
念能力は基本的に、6つの念系統に分類され、念能力者は特定の念系統を得意とします。念能力者がどの念系統に属するかは、生まれ持った本人の資質、願望、育成環境などで決まります。念能力診断を行い、適性のある系統を鍛えることが基本ですが、近い系統も修行することでさらに才能を伸ばすことが可能になります。
- 強化系 :オーラで肉体や物を強化します。最も鍛えやすいバランスが良い系統ともいわれます。
- 変化系 :オーラの性質を変えます。オーラを電撃に変えたり糸状やガム・ゴム状にしたりします。
- 具現化系:オーラを物質に変化させます。オーラを武器や道具など特定の形に実体化させます。
- 放出系 :オーラを飛ばします。遠距離に対応でき、熟練者は実弾を遥かに超えた威力を持つ念の弾丸を体力の続く限り出せます。
- 操作系 :オーラを纏わせた物などを用いて、人や物を操ります。長所は遠隔操作が可能な点、短所は愛用品などを用いて効果を底上げしているため道具の紛失や破損が致命的な点です。
- 特質系 :上記5つに分類できないレアタイプです。クルタ族など一部の血統やカリスマ的人物などに発現しやすいとも言われます。
水見式の元ネタ
念能力診断「水見式」の元ネタは明かされていませんが、多くの伝統的な自然哲学思想からインスパイアされたものと考えられます。優れたストーリーテラーは、意識的、無意識的に収集した知識から、新しい概念を作り出します。ハンター協会の幹部は「十二支ん(十二支)」、念をゆっくり目覚めさせる修行法として「座禅・瞑想(仏教やヨーガ)」、東洋的エッセンスが色濃く感じられます。
水見式の元ネタ候補として腐った卵の判別法と、オーリングテストを簡単に解説します。
腐った卵が水に浮かぶ
腐った卵は水に浮かびます。深めの容器に水を注ぎ、殻に包まれたままの生卵を入れると、新鮮な卵は水に沈みますが、長期間放置した決して食べてはいけないほど腐った卵は水に浮かびます。食塩水ならさらに分かりやすいです。
診断法として、水に象徴的な有機物を入れるという発想はごく自然なものです。
オーリングテスト
オーリングテストとは、オルタナティブ医療(代替医学)の一種です。最新医療でも原因不明とされる病気は存在します。科学的な近代医学の限界に、伝統的あるいは霊的なアプローチを行います。
オーリングテストは、患者の人差し指と親指でOの字を作り、患者の空いたほうの手で有害かもしれない薬や食物を持たせ、Oの字が崩れるか否かで、観察することで患者のアレルゲンなどを特定しようとする発想です。
先述の通り腐った卵は水に沈むことはありません。このような経験的な事実をもって不調の特定しようとする診断法です。「身体に悪いものは身体で判断できるだろう」と、こっくりさんのような自問自答のおまじないとして、知恵袋的にしばしば用いられています。
水見式によるオーラ系統診断のやり方
「水見式」によるオーラ系統診断のやり方を解説していきます。自分の念系統を知ることが、一流の念能力者への第一歩とされています。作中で主人公らは、心源流に伝わる念能力診断方法「水見式」によって自身の念系統を調べます。
念能力診断「水見式」のやり方は簡単です。
- グラスになみなみと水を注ぎます。
- 注いだ水の上に木の葉を浮かべます。
- 手をグラスにかざして「練」を行います。
- 葉の動きや水の変化を確認します。
水見式による念能力の選別方法
水見式による念能力の選別方法は、天空闘技場で知り合った心源流師弟によって主人公らにもたらされます。心源流の拳法師範代ウイングに学び、念能力の四大行を修めた主人公らは自身の属する念系統を知るため念能力診断「水見式」を行いました。
オーラ系統診断におけるグラスと水の反応は以下の通りです。
- 強化系 :水の量が増える。
- 変化系 :水の味が変わる。
- 具現化系:水に不純物が出現。
- 放出系 :水の色が変わる。
- 操作系 :葉が動く。
- 特質系 :その他の変化。
水見式による主要登場人物のオーラ系統
水見式によるオーラ診断のやり方が分かったところで、主要登場人物のオーラ系統をまとめます。
- 強化系 :ゴン=フリークス、アイザック=ネテロ
- 変化系 :キルア=ゾルディック、ヒソカ=モロウ
- 具現化系:クラピカ、カイト、ノヴ
- 放出系 :レオリオ=パラディナイト、ナックル=バイン
- 操作系 :イルミ=ゾルディック、モラウ=マッカーナーシ
- 特質系 :クラピカ(絶対時間)、クロロ=ルシフル、ネフェルピトー
水見式だけじゃない!ヒソカの性格分析による念能力診断
念能力者の属する念系統を調べる方法は、水見式だけではありません。作中でヒソカによって披露された性格分析による念能力診断も確認していきましょう。
ヒソカは、天空闘技場の舞台の上で、次のような心理的な分析を披露します。
- 強化系 :単純で一途。意志が強く熱血漢。
- 変化系 :気まぐれで嘘つき。謎めいた面も。
- 具現化系:神経質で几帳面。
- 放出系 :短気で大雑把。情に厚い。
- 操作系 :理屈屋でマイペース。
- 特質系 :個人主義者。カリスマ性あり。
ハンターハンターには、多様な念能力が登場します。念能力が念能力者の個人的な経験や思い入れ、性格に依存する以上、相手の性格や心理を分析することは、念能力者同士の戦闘においては勝敗を左右する重要なファクターとなりうるのは必然と言えるでしょう。一流の念能力者との戦闘を求めてやまないキャラクターであるヒソカが、独自の性格分析による念能力診断にたどり着くことも自明なのかもしれませんね。
ナルトでは水見式をオマージュした紙見式が登場
同誌で惜しまれながら連載終了した「NARUTO-ナルトー」では水見式をオマージュしたと思われる「紙見式」が登場します。
「火」「風」「雷」「土」「水」の「五大性質変化」は忍術の基礎にして新術開発の要です。自身のチャクラにあう性質を知る手段として「チャクラ感応紙」にチャクラを流して、その変化を見るというものです。
ナルトの作者・岸本斉史先生は、HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)の大ファンと公言しており、ナルトで登場した紙見式が、水見式のオマージュであるという噂があります。5種のチャクラ性質自体は、中国の五行を倣って創作された概念であることは確実です。いずれも東洋的な要素を持つ作品であるため、ある程度の類似性は当然と言えます。
水見式によるオーラ系統診断のまとめ
- 念系統は「強化系」「変化系」「具現化系」「放出系」「操作系」「特質系」の6つ
- 念能力診断「水見式」では、グラスに水を注ぎ木の葉を浮かべてオーラを練って起こる変化を確認する
- 「水見式」の元ネタは不明、東洋スピリチュアルの影響は感じられる
- ヒソカが披露した性格分析による念能力診断は、一流の念能力者にとっては共通認識の可能性