際物(キワモノ)の意味とは?
実は際物(キワモノ)は元々人を指す言葉ではありませんでした。
大辞泉第二版では際物の意味を「入り用な時期の直前に販売される商品」と説明しています。つまり際物とは特定の時期に合わせて売り出す商品を指す言葉であり、その代表例としてはこいのぼりやひな人形、クリスマスケーキなどの季節ものが挙げられます。
しかし時代の変化に伴い際物という言葉の意味合いも変化してきました。元々際物と言われる商品は特定の時期を過ぎるとほとんど売れなくなるため、そういった点からやがて際物という言葉は季節ものの商品のみならず、一時的なブームにあてこんだ人や物に対しても使われるようになりました。
現在では季節ものの商品よりも話題に便乗した芸能人や映画に対してキワモノと言う方が一般的になっています。
またこの意味ならオリンピックやワールドカップなどのイベントに合わせて売り出されるグッズや、そのイベントにちなんだ商品なども際物商品にあたることになります。
キワモノの正しい使い方【例文】
ここでは際物(キワモノ)の使い方の例を紹介します。
・ひな人形は際物商品なので今のうちに売らないと後で売れなくなる。
・扇風機は際物家電の一つだ。
・芸人としてキワモノ枠でずっと生き残ることは出来ない。実力が無ければすぐに忘れられる。
・大きい出来事があると必ずと言って良い程キワモノ映画が作られる。
上の二つの例文では特定の時期に合わせて売り出すものという意味で「際物」を使っており、下の二つでは一時的な流行に当て込んだものや人という意味で「キワモノ」を使っています。
キワモノと似ている言葉「イロモノ」「ゲテモノ」との違いは?
キワモノとよく似ている言葉としてゲテモノ、イロモノがあります。どれも似たような意味と捉えられ混同されがちですが、これらの意味には違いがあり、使う場面を間違えると失礼にあたることもあるため注意が必要です。
キワモノとゲテモノ、イロモノはどのように使い分けるのが正しいのでしょうか。3つの意味の違いを解説します。
キワモノとイロモノの意味の違い
色物(イロモノ)とは元々寄席の演目を指す言葉で、落語や講談などメインの演目の間に彩りとして挟む演目を意味します。
それが転じて、その業界で主流ではないもののことをイロモノと呼ぶようになりました。「イロモノ扱い」とはその世界では主流にはなれない、つまり人気になる見込みがないものとして扱うことで、多くの場合イロモノ扱いをされるのは風変わりで特徴的な人や物です。
一見するとキワモノにもこういった意味があるように見えますが、キワモノには「主流ではない」という意味合いはありません。
キワモノとゲテモノの意味の違い
ゲテモノの由来は諸説あり、中には「ゲテ」の部分が「外道」から来ているとする説もあります。その中でも最も有力とされる説は下手なものや風変わりなものを指す「下手物」が由来だとするものです。
この説によれば、骨董や工芸の世界では精巧で質の高いものを上手物(じょうてもの)と呼ぶのに対し、稚拙で下手なもの、更に伝統に従わないヘンテコなものを下手物と呼んでいたことが由来と言われています。
現在では普段まず見かけることの無い、しかも多くの日本人が気持ち悪く感じるようなものを指して使われるようになりました。特にゲテモノという言葉が良く使われるのが料理で、ヘビや虫の姿がそのまま残った料理などはゲテモノ料理の代表例です。
ヘンテコなものを指す点からキワモノと近い印象を受けますが、ゲテモノは一般の価値観と違う独特なものを指す一方、キワモノは一時的な流行をあてこんだものを指します。そもそもキワモノには変わりものという意味はありませんから、やはりこれらは根本的に違うと言えます。
キワモノの意味を理解して正しい使い方を心がけよう!
本記事ではキワモノの意味をその由来から辿って解説してきました。
キワモノという言葉を知ってはいても、実際にはイロモノやゲテモノと同じ意味で使っていることもしばしばあります。
よく似ている言葉という印象のあるイロモノやゲテモノとキワモノですが、これらにはそれぞれ由来も意味も根本的に違うため、しっかり使い分ける必要があります。
混同しがちな言葉ですが間違えた使い方をしてしまうと相手に対して失礼にあたることもあるので、キワモノの正しい意味、ゲテモノやイロモノとの違いを理解し正しく使い分けるよう心がけましょう。
キワモノの意味のまとめ
- キワモノは元々特定の時期にしか売れない商品を指す言葉だった
- 現在では一時的な流行にあてこんだ物や人もキワモノと呼ぶようになった
- イロモノは主流にならないもの、ゲテモノは一般の価値観と違うものを指し、キワモノとは使う場面が違う