鷹揚の読み方や意味は?
鷹揚は人の性格や態度を説明するときによく用いられ「余裕があり、目先の小さな事にこだわらない」様を表す言葉です。「鷹揚な人」と言われたら、一般的には好意的に受け止め嬉しく感じる人が多いでしょう。
読み方は一般的には「おうよう」ですが、「ようよう」とも読まれることもあります。
「おうよう」という響きを聞いて、意味も音の響きもよく似ている「大様(おおよう)」を思い浮かべる人も多いでしょう。鷹揚と大様では微妙なニュアンスの違いがあります。
鷹揚の語源
鷹揚は、中国で最も古いとされる五経(儒教の経典)の一つ『詩経(しきょう』に由来しているといわれています。鷹は鋭い爪と口ばしをもち、最強のイメージを持たれる鳥類です。勇猛な鷹が何者にも怖れることなく悠々と飛び上がる姿(飛揚)から、堂々とした余裕のある様を感じとることができます。
このことから転じて、鷹揚は「小さな事にこだわらない大きな心」を指す言葉となりました。
鷹揚の使い方・用例
鷹揚は、形容詞のや名詞、副詞、四字熟語などいろいろなパターンで使われます。それぞれの使い方を用例を用いてご紹介します。
鷹揚な(形容詞)
「鷹揚な」は形容詞で、人や態度、性格など人に関する言葉が次にくることが多いです。
着物ちゃん
お客様の的外れな叱責にも動揺しない、彼女の鷹揚な接客態度を見習うべきだわ。
ボブ
鷹揚な人は、何でも柔軟に対応できるから上手くいくんだよな。
鷹揚さ・鷹揚(名詞)
オタクくん
あれだけピリピリした雰囲気だったのに、彼女の鷹揚さでその場の雰囲気が一瞬で和んだんだ。彼女のすごさ初めて知ったよ。
番長
一見怖いけど、鷹揚で頼れるから隠れファンが多いんだよな。
鷹揚に
課長さん
あの新入社員はくよくよしない性格だね。両親から鷹揚に育てられたんだろうね。
hasumiさん
夫婦喧嘩はしないわ。夫は鷹揚に対応してくれるもの。
鷹揚自若
四字熟語の鷹揚自若(おうようじじゃく)は「落ち着いている様子、動揺しない様子」を意味します。
若手社員
元々せっかちな性格なので、鷹揚自若を座右の銘として着実に仕事をこなしていきます。
議員
突然の災害で皆慌てていたが、彼は鷹揚自若としていて助かったよ。
鷹揚と大様の違い
もともと「鷹揚」は中国の言葉で、日本に伝わって「おうよう」と読むようになり、やがて音が似ている「大様(おおよう)」の当て字としても使われるようになったといわれています。
現在では、鷹揚と大様は意味に大きな違いはありません。どちらかというとニュアンスの違いなので、同じ感覚で使用している人も多いでしょう。しかし、場合によっては使い分けが必要な言葉でもあります。
どちらも「度量が大きく、小さな事を気にしない心の余裕」を表しますが、大様には「大雑把」の意味が含まれています。大雑把はおおらかな反面「細かい点に注意しない」という否定的なニュアンスがあるため、褒め言葉として用いる場合は、大様を避けた方が無難でしょう。
鷹揚(おうよう) | 大様(おおよう) |
悠然と落ち着いている | 大らか、大雑把 |
主に性格、態度を表す言葉 | 性格や状態を表す言葉 |
主にプラスイメージ | プラスイメージとマイナスイメージ |
鷹揚の類語や対義語
鷹揚とよく似た意味を持つ言葉や、反対の意味を持つ言葉をご紹介します。
鷹揚の類語
- 寛容…心が広く、人の言動を受け入れることができること。
- 寛大…受け入れる器が大きく、思いやりや許す心が大きいこと。
- 悠然…時間がゆっくり流れている様子。何事にもおろおろとせず落ち着いている様子。
- 大らか…こせこせとせず、心がゆったりとして穏やかな状態。
- 太っ腹…受け入れる器が大きいこと。物事に動じず豪快な気質。
鷹揚の対義語
- 偏屈…性格が偏っていてかたくななこと。
- 狭量…了見が狭く人の言動を受け入れることができないこと。
- 頑迷…頑固で物事の道理が通用しないこと。
- せせこましい…考え方が小さくまとまっていて、心に余裕がない様子。
鷹揚の意味のまとめ
他人から「鷹揚な性格」や「鷹揚な人」と言われたら、嬉しく感じるという人は多いかもしれません。一般的に好意的な意味でよく使われる言葉です。しかし褒めたつもりで、ラインやメールにうっかり「大様な人」と書いてしまうと、気分を害されることにもなりかねません。
「鷹揚」の意味や使い方といっしょに、「大様」には「大雑把で神経が細やかではない」というマイナスイメージの意味もあることを心得ておきましょう。