方言「じゃん」の語源
「じゃん」や「じゃんか」はよく神奈川県横浜地方の方言と言われていますが、実は横浜で「じゃん」が盛んに使われるようになったのは、昭和(1926年以降)に入ってからのことです。このため「じゃん」の語源は神奈川県ではありません。
「じゃん」や「じゃんか」の起源として、もともと愛知県三河地方で「そんなことあるのか=そうなのか」を意味する「そうじゃ、あんか」が転化したといわれています。他にも起源にまつわる説はありますが、「じゃん」や「じゃんか」が戦国大名で天下統一を果たした徳川家康が東に移動する中で広まっていった説が有力です。
「じゃん」は地域によって使い方が違う?
「じゃん」は現在、標準語で使われるほか、方言としては全国のいくつかの地域で用いられる言葉です。ここでは方言としての「じゃん」の使い方を地域ごとに見ていきます。
愛知の「じゃん」
「じゃん」の起源とされている愛知県三河地方(岡崎市など)の場合は、「~なんだけどね」の意味で使われます。これだけであれば東京などのケースとあまり変わりはないように見えますが、三河地方の場合は過去の話をする際に使われるのが一般的です。
なお同じ愛知県でも名古屋を中心とする尾張地方では全く別の使われ方をします。名古屋周辺では理由を説明する際に使うやり方です。例えば「雨降ったじゃんね(雨降ったからね)」といった使い方をします。
静岡の「じゃん」
次に愛知県の東隣にある静岡県の場合も見てみます。静岡県でも愛知県と同じように語尾につけて「じゃん」を多く使います。ただし意味は愛知のものとは少し異なり、どちらかといえば東京などと同じように確認で使う意味が強いです。
山梨の「じゃん」
静岡県のシンボルである富士山を挟んで向こう側の山梨県でも「じゃん」は定番とされます。山梨県でも静岡県や東京などと同じように「~でしょう?」といった確認や勧誘を指すケースが多いです。
島根の「じゃん」
「じゃん」がよく聞かれる静岡県や愛知県などから遠く離れた山陰地方の島根県でも「じゃん」が方言としてあります。しかし、意味の面で標準語とも愛知県などの方言とも全く異なっている点で特殊です。島根県の方言で「じゃん」は「たくさん」を意味し、副詞として使われるため語尾につくこともありません。
おまけ:関西の場合
「じゃん」は方言の面で知名度の高い関西地方では使われません。そのかわり関西地方の場合は、「じゃん」と同じような意味で「やん」が使われます。例えば「ぎょうさんタコ焼きできたやん(たくさんタコ焼きができたじゃないか)」といった使い方です。
方言「じゃん」の使い方の例
「じゃん」は具体的にどのような使い方をするのでしょうか?最後にここでは「じゃん」の使い方を標準語と方言の場合で見ていきます。
まず標準語の「じゃん」から見ていきますと、「彼ってハンサムじゃん。」とか「お前、なかなか強いじゃんか。」といった使い方です。
次に「じゃん」の起源とされる愛知県三河地方の場合は、「この前名古屋にライブ観に行ったじゃんね(この前名古屋にライブ観に行ったんだよ)。」といった使い方をします。一方名古屋周辺の場合は「服が泥被ったじゃんね、新しく買いに行ったんだがね(服が泥をかぶったから、新しく買いに行ったんだよ)。」というものです。
さらに静岡県や山梨県の場合は、「昨日コピー渡したじゃんか(昨日コピー渡したよね)。」というように使います。
このように地域によって若干の違いがあり、「じゃん」の使われ方はさまざまです。
語尾の「じゃん」の意味や使い方のまとめ
- 「じゃん」は本来、「~じゃないか」を親しく使う形である。
- 「じゃん」の語源は愛知県三河地方の方言とされている。
- 方言としての「じゃん」は愛知県や静岡県、山梨県で使われている。島根県でも特殊な使い方がある。
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「じゃん」は横浜の方言とよく言われるが