テレコとは?
テレコとは、物事を入れ替えたり、あべこべになっていたりする事を意味します。
元は歌舞伎業界で使用されていた業界用語でしたが、後に歌舞伎以外の業界や世間一般でも広く使用されるポピュラーな単語になりました。
現在でも関西弁を話す人の間では、入れ替わっている様を指す時にテレコと表現します。
テレコの意味や由来
歌舞伎には、二つある脚本を一つにまとめて交互に進行していく表現手法があります。歌舞伎業界では、この進行方法の事を「テレコ」と呼んでいました。
やがて「テレコ」という歌舞伎用語は「入れ替える」「あべこべな状態」という意味で一般人にも広く使用されるようになりました。
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テレコの類語
関西圏や徳島県周辺に在住の方以外は、日常会話でテレコという単語を聞く機会はなかなかありません。普段テレコという単語を使用しない現在では、類語の「互い違い」や「入れ替え」といった単語を使用するのが一般的です。
テレコの語源は?方言なの?
テレコという言葉は、「手入れ(手を加える)」に接尾語である「こ」が加わったのが原型だと言われています。「手入れ」と「こ」が変化していき、現在の「テレコ」という単語へ進化していきました。
関西弁話者の間では現在でも「本を買ったら、ページがテレコになってる不良品だった」等のように日常的に使われています。関西圏以外の人には中々通じない単語のため、「テレコ」は関西弁独特の方言だと解釈される事も多々あります。
テレコ使い方は?業界によって違う?
テレコという単語は、歌舞伎界の業界用語として使われたのが始まりですが、現在では歌舞伎業界以外でも耳にする機会があります。
業界用語として「テレコ」を使用しているところで代表的なのがファッション・アパレル業界、流通業界、テレビ業界です。どの業界も「テレコ」という用語を使用しますが、使われる業界が違えば、その意味も少しずつ違ってきます。
「テレコ」という業界用語にはどのような意味が含まれているのか、業界ごとに詳しくご紹介します。
ファッション・アパレル関係
ファッション・アパレル業界で使われる素材に「テレコ生地」という生地があります。
テレコ生地とは、主にセーターに使用されるリブ編みの一種で、表面に凹凸があるのが特徴です。表裏の凹凸が互い違いになっているため、テレコ生地と言われるようになりました。
流通関係
配送する荷物と伝票を互い違いに貼ってしまう事を、流通関係の業界では「テレコ」と呼んでいます。伝票の張り間違い以外にも、荷物を配送車同士で入れ替えて積み込んでしまう事も「テレコ」と言います。
流通業界と関わりの深い通販業界でも、互い違いに荷物を届けてしまったり誤送してしまったりする事を「テレコ」と呼ぶ事があります。
テレビ関係
テレビ業界で「二つの字幕をテレコにしてください」と言われたら、それは「二つの字幕を入れ替えてください」という意味です。
テレビ業界はアパレル業界と関わりが深いため、「テレコ」という業界用語もアパレル業界と似た意味で使われる事が多いです。
テレコの間違った意味
一部の人の間では、テレコの事をテープレコーダーの略称であると認識しているケースもあります。しかし、テレコという単語はテープレコーダーが登場する以前から存在しているため、この解釈が誤りである事が分かります。また、現在ではテープレコーダーをテレコと略して呼ぶ事はほとんどないため、死語と認識されています。
今では死語となってしまったテレコ(テープレコーダー)ですが、テレビ業界に限ってはまだまだ現役です。テレビ業界で耳にする「テレコ」という業界用語は入れ替える事を意味していますが、テープレコーダーの事を指す場合もあります。
そのため、例外的にテレビ業界でテープレコーダーをテレコと呼ぶ事は死語ではないのです。
テレコの意味のまとめ
- 入れ違い、あべこべな状態という意味、類語として使用される
- 関西弁では日常的に「テレコ」を使い、方言としての意味合いが強い
- テープレコーダーを略してテレコと呼ぶのは死語
テレコとは、入れ替えやあべこべな状態を意味している