江戸しぐさとは?
江戸しぐさとは、江戸の仕草、つまり江戸の人々の身振りや動作のことです。
でもそれだけではなく、とくにこの言葉が有名なのは、そこに「江戸時代の人たちが守っていた好ましいマナー」という意味が込められているからです。
では具体的にどんなマナーが江戸しぐさと言われているのでしようか?
江戸しぐさとはどんなマナーなの?
女神さま
江戸しぐさの一部を紹介しますね
- 傘かしげ
- 肩引き
- こぶし腰浮かせ
- 時泥棒
- うかつあやまり
- 逆らいしぐさ
どれも現代でも通じるマニーですね。
江戸の人口は18世紀には100万人を超えていたといわれ、当時の世界最大の都市でした。
人間関係を円滑するためのマナーが多いのは、人口過密の都市を住みやすくするための知恵だったのかもしれません。
2014年には、公共広告機構が見習うべきマナーとして「江戸しぐさ」をCMで紹介したことがありました。
江戸しぐさは教科書にも載っていた?
2007年頃から、小学校や中学校の道徳の教科書にも江戸しぐさが取り上げられるようになりました。
昔から日本にはこんなに美しいマナーがあったのですよ、というわけですね。
一時は10社以上の教科書出版会社が、教科書や副読本に江戸マナーを題材にしていました。
しかし、だんだんとその数は減り、今ではほとんどなくなりました。
江戸しぐさは嘘?
江戸しぐさが良いマナーとして評判になり、教科書にも取り上げられるようになったのは、「NPO法人 江戸しぐさ」という団体の広報活動によるとされています。
しかし、江戸しぐさが有名になると歴史家などから「本当にそんなものがあったの?」という疑問の声も上がるようになりました。
もちろん、江戸時代にはその時代のマナーがありましたが、それが当時からとくに「江戸しぐさ」として意識され、教育・伝承されてきたものなのかという疑問です。
江戸しぐさにまつわる文献はない?
江戸しぐさに疑問を持つ人が指摘するのは、江戸しぐさにまつわる文献が確認されていないことです。
しかし「事件」は記録され文献に残りますが、「マナー」は普通こと改めて記録されることはありません。
文献にないからといって、江戸しぐさなんてなかったとは言えないわけです。
捏造された歴史「江戸っ子狩り」
江戸しぐさなんて嘘ではないかという声があちこちから上がった理由に、「NPO法人 江戸しぐさ」の次のような独特の歴史観があります。
- 江戸の商人たちによる、江戸しぐさを教育・伝承する「江戸講」という組織があった
- 幕末の江戸開城の時に、江戸講のネットワークを怖れる官軍が関係する江戸っ子の虐殺を行なった
- 明治維新後もこの虐殺は続いた
NPO法人江戸しぐさにこんな荒唐無稽な陰謀史観がなかったら、江戸しぐさがそのものが嘘で捏造だなど言う声もあがらなかったかもしれません。
江戸しぐさは見習うべきマナーという声も
「傘かしげ」「こぶし腰浮かせ」のようなマナーは現代にも必要な良きマナーです。
それに「江戸しぐさ」という奥ゆかしいネーミングをしたのが、抜群のセンスと言ってよいでしょう。
江戸っ子虐殺は明かな捏造ですが、マナーとしての江戸しぐさそのものを嘘とか捏造という必要はありません。
当時世界一の大都会に住む江戸っ子たちにそれなりのマナーがあったのは当然で、それを江戸しぐさとして私たちが見習うのは、けっして悪いことではありません。
江戸しぐさの意味や正体のまとめ
- 江戸しぐさとは、江戸の人たちが身に付けていたとされる日常生活でのマナーのことです。
- 江戸しぐさに関する文献はなく、それを現代に広めようとする団体の捏造だという批判もあります。
- 体系だった「江戸しぐさ」というものはなかったかもしれませんが、見習うべきマナーの一つとは言ってよいでしょう。