花曇りの意味とは?使い方・例文や俳句の季語としての使い方をご紹介!

花曇りの意味とは?使い方・例文や俳句の季語としての使い方をご紹介!

花曇りとは春先の薄い雲がかかった空模様を表現した言葉です。花とは桜を意味し、桜の季節ならではの情緒的・文学的な天候の表現ですが、日常生活でも使われます。花曇りという言葉の意味や使い方を例文を交えて解説します。

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  1. 1花曇りとは?
  2. 1.1花曇りの意味
  3. 1.2花曇りの語源・由来
  4. 2花曇りはどのような天気なの?
  5. 2.1花曇りの定義は?
  6. 3花曇りの使い方や例文を紹介!
  7. 4俳句では春の季語として使われる「花曇り」
  8. 5「花曇り」は時候の挨拶でも使われる

花曇りとは?

花曇りとは?

花曇りとは空模様を表現する言葉の一つです。春の頃に会話の中で時々耳にしますね。花曇りという言葉には、古くから使われている日本語らしい柔らかい響きが感じられます。
花曇りという言葉の意味や由来、込められた思いなどを詳しく解説します。

萌え袖ちゃん

萌え袖ちゃん

花曇りは気象用語ではありません。気象庁では予報用語には「明確さ」「平易さ」「聞き取りやすさ」「時代への適応」の四つの要素が必要だとされています。花曇りという言葉は情緒的で気象状況を明確に定義できないので用語としては推奨されていないんですね。

花曇りの意味

花曇りの意味

花曇りの意味は辞書では以下のように説明されています。

桜の花のさく頃の、空が一面に薄く曇っている状態。(広辞苑)

花曇りは、桜が咲く前にも、散った後も使いません。まさに今桜が咲いているときに使う言葉です。曇りといっても今にも雨が降りそうな曇りではなく、うす曇りの天気です。

花曇りの語源・由来

花曇りの語源・由来
フリー写真素材ぱくたそ

花曇りという言葉には、とくに語源・由来があるわけではありません。
桜を愛する日本人がいつとはなく言い始め、言い習わしてきた言葉です。話す人の桜に込められた思いが感じられる表現ですね。

花(=桜)への思いが込められた言葉はほかにもあります。

  • 花冷え(はなびえ):桜が咲く季節の寒の戻りを指す
  • 花風(はなかぜ):桜の花を吹き散らすような風
  • 花明り(はなあかり):満開の桜で周囲が明るくなるように感じられる様子
この他にも、花を用いた言葉は驚くほどたくさんあります。それだけ日本人の桜に対する思いは深いのですね。

また、花曇りという言葉には「花が見頃なのに曇り空で少し残念」というニュアンスがあります。やはりお花見には晴れた日がベストということでしょう。

花曇りはどのような天気なの?

花曇りはどのような天気なの?
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花曇りは桜が咲く頃の薄曇りの意味だと説明しましたが、どの程度の曇り空なのでしょうか?

花曇りの定義は?

雲には大きく分けて以下の二つの定義があります。

  1. 積雲(せきうん):もくもくと湧き出るような状態の雲で入道雲などに代表されます。
  2. 層雲(そううん):比較的高い空に薄く層をなして広がる状態の雲でうろこ雲などが含まれます。
花曇りの雲は「層雲」の一つです。雲は薄く広がっていますが陽は差し込み雨が降るような予感を感じることはありません。

さらに、雲は発生する状況により3種類に分類定義されます。
  1. 下層雲:高度2000m程度の低い空に発生する雲
  2. 中層雲:高度2000m~7000mの空に発生する雲
  3. 高層雲:高度7000m以上の高い空に発生する雲
この中で下層や中層には主に積雲が発生します。花曇りとは、下層雲や中層雲の発生がなく、高い空に薄い層雲が発生している状態と定義できます。そのため雲が出ていても温かい陽ざしも感じることができる空模様です。このような春の天気を文学的に表現した言葉が「花曇り」です。

花曇りの使い方や例文を紹介!

花曇りの使い方や例文を紹介!

花曇りという言葉には桜への思いが込められており、小説などで文学的表現として多く用いられています。いくつかの例文をご紹介します。

ー芥川龍之介「春」ー
ある花曇りの朝だった。広子は京都の停車場から東京行の急行列車に乗った。

ー荒又宏「帝都物語」ー
東京という土地について何か思いをめぐらせたくなるような花曇りの午後だった。

ー三浦綾子「続氷点」ー
花曇りの空が林の上に眠っているように静か

花曇りという言葉は日常会話でも使われています。例文をいくつかご紹介します。

  • 一日中花曇りだったけど雨の心配はなかったね。
  • もうそろそろ花曇りの季節も終わりだね。
  • あの人の態度はいつも曖昧で、まるで今日の天気の花曇りのようだ。

花曇りは、時には人の心境を比喩的に表現することもあります。花=桜という意味に加えて、曖昧な状況を柔らかく包み込むように言い表す、季節の情緒を大切にする日本ならでは言葉ですね。

俳句では春の季語として使われる「花曇り」

俳句では春の季語として使われる「花曇り」

俳句では「花曇り」はもちろん春の季語です。季語とは季節を表現する特定の言葉です。
花曇りを使用した俳句をいくつかご紹介します。

花曇り 尾の上の鐘の 響かな (夏目漱石)

花曇り 朧につづく ゆふべかな (与謝蕪村)

降るとまで 人には見せて 花曇り (井上井月)

桜の華やか春ならではの少し靄(もや)のかかったような気候と心境を合わせて感じられる俳句です。

萌え袖ちゃん

萌え袖ちゃん

季語にとって大切なものは「季節感」と「連想」と「象徴」です。“春”といえば“桜“、また、”花“といえば”桜“という連想と季節感から春の象徴として季語になりました。

女神さま

女神さま

俳句で使う季語は「歳時記」という書物で、使うべき季節や意味が規定されています。「歳時記」は江戸時代に貝原益軒が発行した「日本歳時記」が始まりといわれ、現代では角川書店の「俳句歳時記」が有名です。

「花曇り」は時候の挨拶でも使われる

「花曇り」は時候の挨拶でも使われる

花曇りという言葉は時候の挨拶でもしばしば使われます。花=桜の期間は地域によって差はありますが、一般的には3月下旬から4月中旬頃になります。

桜の季節はまだまだ寒い日も多く、花曇りの中、花冷えなどで体調を崩す場合もあるので、そういうことを気遣う気持ちを込めて挨拶文として使用します。
例文は以下の通りです。

「桜の季節にも関わらず花曇りの日々が続きますがいかがお過ごしでしょうか。」
「花曇りの空模様が続きますが、皆様はご健勝にお過ごしでしょうか。」

 

花曇りの意味のまとめ

  • 花曇りとは桜の季節のうす曇りの空模様を文学的に表現した言葉
  • 花=桜という連想から俳句では春の季語
  • 春先の体調などを気遣った意味での時候の挨拶として使われる

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