二形(両性具有)とは?
原初の世界あるいは人間が両性具有であったとする神話は世界各地に存在し、原初への回帰を意図した儀式、成年式や結婚式での異性との衣装交換などの形で残されている場合もある。
— 🌜松本 英二郎🌞 (@matuei99) September 5, 2016
キプロス島の両性具有者、アプロディトス pic.twitter.com/oHSv2xfuvl
二形(両性具有)とは「1人の体に男性と女性両方の性器が備わっていること」を指しています。
二形という言葉は「ふたなり」と読み、アニメや漫画などの創作物などには「ふたなり」として平仮名で書かれることが非常に多いです。
ギリシャ語では二形(両性具有)のことを「アンドロギュノス」や「アンドロギュヌス」などと表現します。
二形(両性具有)はアート作品としても注目されており、多数の像が作られています。
代表的なものにはキプロス島のアプロディトスという像があります。
このアプロディトスの像は写真のように女性の胸に男性器がついたデザインになっています。
二形にまつわる逸話
二形(両性具有)にまつわる逸話が存在します。
その逸話とはプラトンが記した「饗宴」の中でアリストパネスが語ったとする演説の一部です。
そのプラトンの「饗宴」(きょうえん)にかかれていた、二形(両性具有)に関する逸話に関して、分かりやすくまとめてご紹介します。
ギリシャ神話の「アンドロギュノス」
ギリシャ神話の中では、人間は2人の人間が背中合わせにくっついた姿で生きていたとされています。
人間の組み合わせは「男同士」、「女同士」、「男と女」の3パターンが存在していました。この3つのパターンのうち「男と女」の組み合わせが当時のギリシャでは「アンドロギュノス」と呼ばれていました。
「アンドロギュノス」とは手と足が4本ずつあり、顔と性器が2つついているという不思議な姿であり、この姿が人間の本来の姿とされています。
アンドロギュノスは「男と男」、「女と女」のパターンの人間よりも、強い力を持っていたため、ギリシャの神々はいつか、アンドロギュノスによって反乱が起こってしまうのではないかと心配をするようになりました。
そのため、アンドロギュノスの強力な力を無くしてしまおうと、全知全能の神であるゼウスにより、3パターンの全ての人間が半分に引き裂かれました。
ゼウスによって半分に引き裂かれた人間はそれ以来、もう片方の自分を求めるようになり、それを「恋心」と名付けました。
また、ギリシャ神話の中ではニンフと呼ばれる精霊のサルマキスに恋心を抱かれ、強制的に一心同体にされた神、ヘルマプロディートスの話も存在します。
日本やインドの神には二形が多い
ギリシャ神話に登場する神々などは、性別がはっきりしています。
しかし、日本やインドの神は特定の性別を持っておらず、二形(両性具有)が多くなっています。
また、日本神話に登場する女神の天照大御神は中世に成立した書物「日諱貴本紀」の中で二形(両性具有)として描かれています。
二形の人間は実在する。2000人に1人の確率で生まれている
アート作品や神話に登場する二形ですが、現実に二形(両性具有)の人の存在が確認されています。
二形(両性具有)の子供が生まれる確率は2000人に1人と言われており、かなり生まれる確率が高いことが分かります。
二形(両性具有)として生まれる原因としては、男性ホルモンの分泌量が大きく影響していると言う研究結果が出ています。子宮内で成長する過程で男性ホルモンのバランスが崩れてしまうと、二形(両性具有)として生まれてくる確率が非常に高くなるようです。
また、二形(両性具有)は必ずしも表面上に現れるというわけではなく、体内に埋もれてしまっている場合も多いため、家族はおろか本人さえも気づいていなかったという人も実在しています。
そのため、現実で出くわすことはあまりないとされます。
認知度のとても低い二形(両性具有)ですが、生まれてくる確率が非常に高いため二形(両性具有)について周囲の人々が認識する必要があると言えます。
参考動画 性未分化で生まれた赤ちゃん、手術で性を決めて良いのか
二形の人は性的二形が当てはまらない?
二形(両性具有)の人は性的二形には当てはまらないと言われています。
性的二形とは、「生殖器以外に男女の差をはっきりと区別できるもの」のことを指します。
つまり、性的二形の人は生殖器以外に体格や運動能力によって男女を明確に分けることができます。
一方で、二形(両性具有)の人は脳が男性になる時と女性になる時があると言われており、自身ではコントロールができないと言われています。
そのため、生殖器などには全く影響を受けず、時期によって恋愛対象が変わります。
そのため、両刀なのではないかという意見もありますが、時期によって明確に恋愛対象が変わる人もいるため、明確に両刀とは言えないようです。
二形と性同一性障害やニューハーフとの違い
・二形(両性具有)は「男性と女性両方の性器が備わっている」
・性同一性障害は「身体と心も性別が一致していない」
・ニューハーフは「男性が女性の見た目になる」
性同一性障害の場合は「身体と心の性別が一致しておらず、持続的な違和感を持っている状態。
また、心の性別に身体を統一するために、時には手術などを望む状態」のことを差しています。
この性同一性障害という名前は医学的な疾患名です。
ニューハーフは「男性として生まれた人物が、自ら女性の風貌になる」ことを指しており、性別は変えずに女性の容姿に近づけるため、性同一性障害とは別物と考えられています。
そのため、一見似ているように感じてしまう二形(両性具有)や性同一性障害、ニューハーフの3つですが、明確な違いが存在します。
二形について知っておくことは大切!
現代社会では男と女の2つ性が重んじられており、両方の特徴を持った二形(両性具有)の人たちはどちらの性を選ぶべきなのか、また、第3の性として生きるのかなどさまざまな問題に直面しています。
表面上に現れていない場合は本人が気づいていないケースも多く、不妊治療などを行った際に自身が二形(両性具有)であったということに気付く人も少なくありません。
二形(両性具有)は2000人に1人のという高い確率で生まれるため、センシティブな問題ではありますが、周囲の人々が理解しサポートしていくことがとても大切になります。
二形の人間は実在するのか?のまとめ
- 二形(両性具有)は「1人の体に男性と女性両方の性器が備わっていること」
- 2000人に1人の確率で実在する
- センシティブな問題ではあるが、理解することが大切