御意の意味とは?
御意は「お考え」「おぼしめし」という意味です。
意見や意向など考えを示す「意」という漢字に、敬意を表す「御」を加えて御意(ぎょい)となることから、敬うべき絶対的な意見を示します。
「そのとおり」「ごもっとも」と相手の命令を受け入れる際の返事として使われます。時代劇では殿様や目上の者の意見や命令された際、家来たちが「はっ。」と返事をするシーンも印象的です。「御意。」とはそれより一段とかしこまった返事で、目上の人に対して敬意を示し「承りました」という強い同意の意思を示します。「御意にござります」と使われる場合もあります。
御意の由来・語源
御意は「御意のとおり」を語源とする言葉で、「お考えのとおりに命令を実行いたします」という意味です。これを省略して「御意」となり、指示や命令を肯定する返事として使われています。
御意は厳しい身分制度がしかれていた武家社会において頻繁に使われていた言葉です。この時代は目上の者に逆らうのはもちろん、自由に意見を述べることすら許されませんでした。そのような行為は御法度にあたり、当然のように自らの命だけでなく一族の存亡に関わる状況に陥ってしまいます。そのため家来や下々の者は命令には絶対的に従わなければならない立場にあったのです。それがどんなに無茶な意見や要望であったとしても命令に背くことは許されません。
つまり御意はただ単に「わかりました」という返事としての意味合い以上の強い服従を示しているといえます。ちなみに御意は武士言葉であり、一般の町民や農民には使われていませんでした。
御意の使い方と用例
では御意の使い方を用例をもとに確認していきましょう。
御意の使い方のポイントは、相手との上下関係や主従関係が成り立っていることが前提条件です。日常生活で使う場合には直属の上司と部下の関係というよりは、社長と一般社員のように身分の違いが際立つ関係性に適しています。
課長さん
今後のわが社の食堂のメニューについて、社長の御意を得たいと存じます。
(社長のお考えをうけたまわりたい)
プロゲーマー君
その件に関しては社長の私ではなく、会長の御意にかなうように動いてくれ。
(会長がお考えに沿って鋭意努めてくれ)
萌え袖ちゃん
みんなの好きにしていいわよー。
若手社員
萌え袖会長の御意のままにいたします!
(仰せの通りに動きます!)
御意の類語
御意の類語には「おっしゃる通り」「かしこまりました」があります。「おっしゃる通り」は目上の人と会話をする際、相手の意見を同意する返答として一般的な言葉です。堅苦しく表現すると「仰せ(おおせ)の通りに」「仰せのままに」とも言い換えられます。
「かしこまりました」も現代社会でよく使われる言葉です。ビジネスシーンでは取引先からの依頼に対して、飲食店などの接客業では客の意見や要望に対する返答として使用されます。漢字では「畏まりました」と表記する謙譲語です。
返事としての御意ではなく、考えや意向としての意味合いをくみ取ると「御心」とも表現できます。
萌え袖ちゃん
豆知識!
「承知です」と「かしこましました」の使い方の違いは、
●承知です・・・社内で使う
●かしこまりました・・・取引先やお客様に対してなど、社外で使う
になるわよ~。
「了解」と「承知」の違いに注意!
御意は「了承」や「承知」と同じような意味合いで捉えられています。どちらも命令や指示を承諾する返事ではありますが「了承」と「承知」には違いがあります。
「承知いたしました」は謙譲語で承認を意味し、目上の人の指示や意見に同意し理解した際に使われます。「承りました」「わかりました」と同じ意味合いで使われるので「御意」に近い言葉でしょう。
一方で「了解です」「了解しました」は丁寧語であり、相手の指示や意見を理解した際の返事です。「承知」と同じく承認を意味しますが、自分と同等もしくは目下の人に対して使われる言葉のため、目上の人に対して使うのには不適切です。「了承しました」も同じ意味合いで使われます。
つまり目上の人に使う言葉として正しいのは「承知」です。実生活の中でも間違って使われることが多くみられる言葉のひとつなので、違いをしっかり認識しておいたほうがいいでしょう。
まとめ
御意とは武家社会の厳しい身分制度を感じ取れる言葉のひとつでした。当時は殿様や目上の者からの返事として「御意。」と答える以外に選択肢がありませんでした。返事をする側にも相手に対して尊敬の念を抱き、絶対的な忠誠心がないと返答できない背景も覗えます。誰しもが自由に意見を述べる権利がある現代社会において使用する機会が少ない言葉ともいえそうです。