祝日と祭日の違いとは?
祝日や祭日など日本には1年に休みの日が多く存在します。まとめて休日と呼ばれますが、細かく見ていくとその種類は驚くほどさまざまです。中でもカレンダーなどでよく目にするものの、違いのわかりにくいものが祝日と祭日です。「祝祭日」と一緒に使われる場合が多いためか、混同して使われていることも少なくありません。「今日は祭日」という表現も、実は間違いです。
祝日と祭日の違いを知っていれば、仕事でもプライベートでもいろいろと話が弾むはずです。今回は混同されがちな祝日と祭日の違いを見ていきましょう。
祝日の意味は?
祝日は、正確には「国民の祝日」と呼ばれ、祝日法で定められた休日(法定休日)を指します。法律の中で、具体的に名前と日付が明確に決まっているものです。
休日には祝日以外にも、振替休日や国民の休日というものがあります。振替休日は祝日が日曜日と重なった場合に、翌日(月曜日)が休日になる日のことです。これに対し国民の休日は、祝日に挟まれた平日が休日になったものを指し、2019年の場合は皇位の交代で4月30日と5月2日に設けられています。
祭日の意味は?
祝日について「今日は祭日」と言う方も多く見られます。この「祭日」とはいったいどのような日のことを指すのでしょうか?
祭日は「お祭りの日」と書き、具体的には皇室や神道で行われるお祭りや催事を行う日を指していました。特に戦前の日本では、皇室のお祭りの日に合わせて休日にする例が多かったため、特にこのような休日のことを「祭日」と呼んでいました。
なお祭日は戦後に現行憲法が施行されたことに伴って、違う名前を持った祝日として変更されました。そのため、「今日は祭日」と祝日を表現する方には、基本的に戦前や戦中を生きてきた世代の方が多いのです。
国民の祝日にならなかった祭日もある?
祭日とされていた日の中には、祝日として残らなかったものもいくつかあります。
正月ごろに行われていた元始祭や新年宴会、4月に行われていた神武天皇祭(神武天皇の崩御日とされる日に行われていたお祭りの日)、五穀豊穣に感謝する神嘗祭(かんなめさい:10月17日)、そして年末近くに行われていた大正天皇祭(12月25日)です。
このため、以上の日はカレンダーに特に何も書かれていません。
法律で決まっている?「国民の祝日」の意味は?
祝日はカレンダーで赤色に塗られ、きちんと名前まで載っていますが、それぞれの祝日にはきちんとした意味が法律で決められています。ここではそれぞれの祝日が持つ意味について見ていきましょう。
「国民の祝日」の一覧と意味
以下が国民の祝日の一覧とそれぞれが持っている意味です。この機会に、ほとんどの月に1度はある祝日が持つ意味を再確認してみて下さいね。
1月1日「元日」
祝日としての元日は「年の初めを祝う日」と定義づけられています。たしかに元旦は1年の最初の日で、多くの方がおせち料理を食べたり年賀状を読んだりする日ですが、本来は祖先神などを祀って1年が無病息災で豊かであるように願う日でもありました。
1月の第2月曜日「成人の日」
戦後になってできた成人の日ですが、その意味として「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」というものがあります。もともとは武士の家などで大人になったとみなされる年齢に達した若者に、元服の儀式を行ったのが1月15日であったためです。もちろん成人の日には、全国各地で市町村主催の成人式が行われます。
2月11日「建国記念の日」
もともとは「紀元節」といい、初代神武天皇が即位した日と伝えられているために祭りが行われていたため、年配の方などは「今日は祭日」と言う日です。
このため法律でも「建国をしのび、国を愛する心を養う」ための日としています。建国記念日とは異なり、名称に「の」が付いている理由は、歴史学や考古学などで正確に建国の日であったことが今日でも証明されていないためです。
春分日「春分の日」
春分の日は太陽の運行が大きく影響しているため年により変化しますが、だいたい3月20日か21日ごろです。「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされていますが、もともとは皇室で代々の皇族を祀る日でした。現在でも一般的には春のお彼岸でお墓参りなどが行われます。
4月29日「昭和の日」
もともとは昭和天皇の誕生日でしたが平成に入ってからみどりの日、そして2006年から現在の昭和の日と、名称の変化が激しかった祝日です。「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」と定められているように、64年に及ぶ激動の時代だった昭和を忘れることなく日本の未来について考えるための日とされています。
5月3日「憲法記念日」
現在の日本国憲法が、1947年5月3日に施行されたために設けられた祝日です。「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」ための日と定められています。
今後の憲法の動向は日本の針路を考えるうえで重要な問題ですが、この日は立場に関係なく憲法のことに思いをはせてみてはいかがでしょうか?
5月4日「みどりの日」
もともと国民の休日でしたが、2006年からみどりの日になりました。「みどり」とついているだけに「自然に親しむとともに、その恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」日と定められ、環境関係のイベントも多く行われています。
5月5日「こどもの日」
古くに子供の健やかな成長を祈る日とされていた、端午の節句が祝日になったものです。「子供の人格を重んじ、子供の幸福をはかるとともに、母親に感謝する」と定められており、単に子供のためだけではなく、子供を産んだ母親のための日でもあります。
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7月の第3月曜日「海の日」
「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国家日本の繁栄を願う」ための日と定められており、もともと明治天皇が、北海道や東北から海路で横浜に到着されたことにちなんでいます。いかにも周りを海に囲まれた島国日本らしい祝日です。
8月11日「山の日」
山登りの季節真っただ中にある日で、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ための日とされています。2016年にできた非常に新しい祝日です。
9月の第3月曜日「敬老の日」
もともと兵庫県のある村で始まった年配の方をねぎらう日が、60年代に祝日になったものです。「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」という意味があります。
秋分日「秋分の日」
春分の日と同じように年によって日付が変わりますが、9月23日ごろとされています。「祖先を敬い、亡くなった人々をしのぶ」ための日となっており、祖先供養のためにお墓参りなどを行うのが一般的です。
10月の第2月曜日「体育の日」
1964年の東京オリンピック開会式の日にちなんで制定された日で、意味は「スポーツに親しみ、健康な心身を培う」となっています。ちなみに、2020年から国際的に広く呼ばれている「スポーツの日」に改名されることになりました。なお、2020年の体育の日は、東京オリンピック開会式に合わせて7月24日に移動しています。
11月3日「文化の日」
もともと明治天皇の誕生日でしたが、戦後になって日本国憲法が国民に公布された日となったために、「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」と定められました。文化の日は各地で学園祭や美術展など、文化的なイベントが多く催されます。
11月23日「勤労感謝の日」
戦前までは新嘗祭(にいなめさい)と呼ばれる、神道で1年の五穀豊穣を感謝し祝うためのお祭りが行われていました。現在では「勤労を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」ということで、かつての新嘗祭の伝統を受け継いでいます。
12月23日「天皇誕生日」
現在の今上天皇の誕生日ということで祝日になっています。ただし、2019年は5月から天皇が交代されるため、2019年は天皇誕生日がありません。なお、天皇誕生日は2020年から2月23日に移動します。
祝日と祭日の違いとは?のまとめ
- 祝日は法律で名称と日付が定義づけられている休日のことで、一方祭日は戦前まで皇室や神道のお祭りに合わせて設けられていた休日のことである。
- 祭日の中には神嘗祭のように国民の祝日として残らなかったものもある。
- 国民の祝日は全部で16日あるが、いずれにもそれぞれ法律で決められた意味がある。
祝日と祭日の違い