振袖の意味とは?
振袖の意味は「袖が振れる着物」です。身頃と袖を縫い付けずに仕立てられるため、脇の部分が大きく空いており、通気性がよく熱がこもりにくい作りになっているのが特徴です。
「振袖」の「振り」とは、身頃に近い袖の端を縫わずに開けている部分のことですが、現代の和服の特徴は、「振り」があって袖丈が長くなっているのが一般的です。
ちなみに、袖丈(そでたけ)は袖の縦の長さを指し、身頃(みごろ)は体の前と後ろを覆う生地を指します。
振袖の由来と歴史
振袖の由来と歴史は、江戸時代にうまれた「小袖」がはじまりです。
現代に伝わる和服や振袖の元となった「小袖」は、袖丈がおよそ82cm前後のものを指します。当時の振袖である「小袖」は、「身頃」と「袖」を縫い付けない「振り八つ口」という作りになっており、活発に動いても体内の熱がこもりにくくなっています。
江戸時代末期には、独身の女性が立ち居振る舞いを美しくみせるために、「小袖」の袖丈は95cmから122cmまで伸びました。振袖が独身女性の正装となった背景には、その昔、男性から求婚された女性は言葉では無く、袖の振り方で求婚に答えていた歴史があります。
昔は男性も振袖を着用していた?
振袖は、昔は男女ともに着用されており、年齢で言うと16歳前後の子どもが着ることを想定されていました。当時は振袖の色や柄、仕立て方に男女差はほとんどありませんでした。
しかし江戸時代後期には、振袖は子どもと独身の女性が着る和服だという文化が定着し、男性が着ることは少なくなっていきました。
井原西鶴の『西鶴俗つれづれ』(元禄8年)では、男女ともに一定の年齢に至ると袖を短くして脇をふさいだという当時の記述があります。男性は17歳の春に、女性は未婚既婚を問わず19歳の秋頃に、振袖を卒業したといいます。
振袖を成人式に着る意味とは?
成人式で着る振袖には、新しい門出のためのお清めという意味が込められています。
昔から日本では「振る」という動作が「魔を祓う」「神に祈る」という意味を持っていると考えられてきました。例えば、神様に仕える神職の女性は、長い布や袖を振り、神を呼ぶ「魂振り」という儀式を執り行っていました。その行事に由来して、人生の節目で身を清めて厄を払うために、成人式をはじめとした祝いの場で振袖を着るようになったのです。
また、振袖で最も人気の色が赤色には、魔除けの力があると考えられており、古くから縁起の良い色とされています。
振袖にはどんな種類があるの?
振袖の種類は、袖丈の長さで大振袖・中振袖・小振袖の3種類あります。
- 大振袖(本振袖):袖丈は114cm前後で最も長いです。結婚式で花嫁が着ることが主な用途でしたが、近代では成人式で着用されています。正式な大振袖は、五つ紋と全体に柄をあしらった「絵羽模様(えばもよう)」とされていますが、最近は紋を省略することが多いです。
- 中振袖:袖丈76~100cm前後で二番目に長いです。結婚式への出席や成人式などで正装として着用されます。大振袖に次ぐ礼装で、背丈が高くなった現代女性に合わせて袖も長い傾向があり、大振袖と変わらない長さのものもあります。
- 小振袖:袖丈85cm前後と最も短く、気軽に着用できるカジュアルな部類の礼装です。堅苦しくない振袖として親しまれていますが、小振袖は一般的に市販されていません。用途としては外出着やパーティー、観劇などに行くために用いられます。
このほかにも、一般的な和服ではありませんが婚礼衣装の振袖もあり、その袖丈は大振袖よりも長いです。このような裾を引きずる振袖を「引き振袖(ひきふりそで)」や「お引き摺り(おひきずり)」と言います。ちなみに、黒地の引き振袖が最も格が高いとされているので、神前式で着用できるのは黒地のものだけとなっています。
振袖の意味や由来のまとめ
- 振袖は子供用に作られた和服
- 江戸時代では既婚女性や若い男性も振袖を着ていた
- 振袖の「振る」には魔除けの意味があるため、祝い事の場で着用される
振袖の意味とは?