ミョウバンとは
ミョウバンとは、硫酸カリウムアルミニウムのことで、カリミョウバンやカリウムミョウバンとも呼ばれます。学校では「アルミ箔+水酸化カリウム+硫酸など」を合わせてミョウバンを作る実験をしたことがある方もいるかもしれません。
ミョウバンには下記の通り二種の物質があります。
物質名 | 別 名 |
無水ミョウバン | 焼ミョウバン 無水ミョウバン |
ミョウバン12水和物 | 結晶ミョウバン 含水ミョウバン |
薬局で手軽に購入できるのが無水ミョウバンのため、自宅で行う実験についてはこちらに触れる機会が多くなるでしょう。ミョウバン12水和物は熱い水に対してよく溶ける性質があり、再結晶した際には正八面体型の大粒の結晶が得られます。
ミョウバン結晶ができる原理とは?
ミョウバン結晶ができる原理は、下記の通り2つあります。
- ミョウバン結晶ができる原理①
- ミョウバン結晶ができる原理②
ミョウバンは水温に比例して溶けます。高い水温で限界まで溶かした液体を飽和水溶液といい、低い水温で溶かした時に溶けきれなかったものが結晶として現れ、これを再結晶といいます。
ミョウバン結晶の簡単な作り方
ミョウバン結晶の簡単な作り方をご紹介しますが、その前にミョウバン結晶について注意事項を含めて紹介します。
理科や科学の教科書でミョウバン結晶を作る際に用いられるのが、ミョウバン12水和物ですが、薬品会社から購入する必要があるため手に入りにくいです。しかし、無水ミョウバンのほうは薬局などで簡単に手に入るため、自由研究などで自宅で実験を行う際には、こちらを使う機会が多くなるでしょう。
無水ミョウバンはミョウバン12水和物を焼いて水分を飛ばしたもので、さらに熱し続けると硫酸カリウムと酸化アルミニウムになります。無水ミョウバンでミョウバン結晶を作る時は、ミョウバン12水和物よりも多くの水が必要になりますので、ご注意ください。
結晶作りに必要な道具・材料
【結晶作りに必要な道具】
- 鍋
- 透明なコップ(耐熱性のコップ)
- サランラップ
- 髪の毛
- 計り
- 割り箸
- セロハンテープ
- ハサミ
- 虫眼鏡(観察用)
- 無水ミョウバン(別名:焼ミョウバン/無水ミョウバン)
- 綺麗な水
結晶作りの手順
ミョウバン結晶の作り方の手順をご紹介します。
ここでは、無水ミョウバン(別名:焼ミョウバン/無水ミョウバン)を使用しています。
①飽和水溶液を作る
- 鍋に無水ミョウバン10gと綺麗な水100mlを入れて、弱火で熱する。
- 混ぜながら溶かす(初めは泡立ちながら溶けますが、次第に透明になる)。
- 液体が透明になったら火を止め、冷ます。
- 液体が冷めたら透明なコップに移し、サランラップをし、一日以上放置する。
②結晶を緩やかに成長させるための液を作る
- ①で作った飽和水溶液を鍋に入れて弱火で熱し、沸騰寸前で火を止める(液体を少しだけ蒸発させて濃度を高めることが目的。沸騰させると濃度が高まって、良質な液体にならないため注意が必要)。
- 冷めないうちにコップに移し、サランラップをして放置する(この時液体が冷めても結晶ができなければ成功したことになる)。
③結晶の素を作り②の液体で成長させる
- 割っていない割り箸に髪の毛を挟み、セロハンテープで固定する。
- ①の手順と同じように、綺麗な水150mlに無水ミョウバン25~30gを溶かす(①よりも濃度が高いことがポイント)。
- 完成したものをコップに移し、サランラップをする。
- 冷めたら②の液体とここで作った液体を並べる。
- ここで作った液体に髪の毛を挟んだ割り箸の髪の毛部分を入れる(割り箸部分はコップの上で引っ掛かっている状態)。
- 髪の毛を入れてしばらく経つと、4つの状態が見られる(以下で解決策を解説します)。
2. 結晶が一つだけ付いた状態→十分に成果が出ている。
3. 結晶がたくさん付いた状態→成果が出ているため、後でこの中から良質な結晶を選ぶことができる。
4. 結晶が付きすぎてそれぞれが重なった状態→髪の毛を液から取り出して水道水で洗い、再度入れる。
このうち2.と3.が一回で結晶作りが成功したものです。
上の動画ではクリップを使用しています。参考にしてみてください。
クリップを熱するときは、ヤケドに十分注意しましょう。
形の良い大きなミョウバン結晶を作るポイント
ミョウバン結晶を形良く、そして大きく作るポイントは、大きさよりも透明で形が整っているものを選ぶことです。透明で形が綺麗な結晶は、質が良いことを表しています。この条件で選んだ結晶を種として採用しましょう。
「ミョウバン結晶」以外の楽しい実験
ミョウバン結晶以外にも楽しめる実験がありますので、ご紹介します。
YouTubeで人気のメントスコーラ
YouTubeで人気のメントスコーラをご紹介します。
メントスコーラとは、メントスをコーラに入れると中身が噴き出す現象のことをいいます。コーラのような炭酸飲料は水分に二酸化炭素を圧入して作られており、これによって泡が出る仕組みです。しかし、二酸化炭素は水に溶けにくい性質であるため、コーラを含む炭酸飲料は常に不安定な状態にある飲み物でもあります。常にガスが空気中に逃げ出そうとしており、それを防いでいるのが表面張力です。
表面張力は二酸化炭素が外に放出されるのを防ぐ役目を担っており、その力が弱くなれば、二酸化炭素は外に逃げ出し、コーラが噴き出すという現象が起こります。
もっと詳しい内容を知りたい場合は、下記の記事もあわせて読んでみてください。
手触りが気持ち良いスライム作り
手触りが気持ち良いスライム作りをご紹介します。
スライムは元々、どろどろ・ぬるぬるした性質を持つ物質を大ざっぱに表現する言葉でした。それがおもちゃや教材として作られるようになり、学校教育でも実験として行われるようになっています。一般的なスライム作りに用いられる材料として洗濯のりとホウ砂があり、洗濯のりのPVAという物質が水素ホウ砂イオンと結びついて、ゲル化が起こります。
しかし、ホウ砂には危険有害性があります。手で触れる分には吸収が遅く、健康に害があることはないとされていますが、傷口がある場合には早い吸収力が見られて毒性を発揮します。経口摂取の場合には、死に至ることもありますので、子どもだけで行う場合は十分な注意が必要です。
もっと詳しい内容を知りたい場合は、下記の記事もあわせて読んでみてください
自由研究にも利用できるミョウバン結晶を作ってみよう
ミョウバン結晶は少し慎重になって行う必要のある実験です。しかし、綺麗で質の良い結晶を選ぶと、どんどん成長させることができます。上手くいくとダイヤモンドのような美しい結晶を作ることができますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
ミョウバン結晶作り方まとめ
- ミョウバンは「アルミ箔+水酸化カリウム+硫酸など」を合成して得ることができる。
- 薬局では「無水ミョウバン(別名:焼ミョウバン/無水ミョウバン)」が手に入りやすい。
- 無水ミョウバンは、熱し続けると硫酸カリウムと酸化アルミニウムになる。