昼行灯の読み方や意味は?
昼行灯は「ひるあんどん」と読みます。
昼行灯の意味は「ぼんやりしている人」や「役にたたない人」で、人を揶揄するときに使う嘲(あざけ)りの言葉の一種です。
情熱系社員
普段の会話ではあまり使わないけど、読み方と意味は覚えておこう!
昼行灯の由来・語源
昼行灯の「行灯」とは、江戸時代の照明器具のことで主に室内用として使われ、竹や木の枠組みによって作られていました。
火が消えないように外側には和紙を貼り、中に油皿を置いて火を灯します。
昼行灯という言葉の由来は「明るい昼間に行灯をつけている(様子)」からきています。昼間に行燈を灯しても、ぼんやりと明るくなるだけで役に立ちません。そこで、ぼんやりした人や役に立たない人を昼間の行燈にたとえて、「昼行燈」と言うようになりました。
着物ちゃん
昔は、外灯のように屋外に灯す照明は「灯籠(とうろう)」、懐中電灯のように持ち歩く照明は「提灯(ちょうちん)」と呼ばれるものでした。
昼行灯の使い方・用例
昼行灯という言葉の使い方や用例について紹介していきます。
日常会話の中ではあまり使われることのない言葉ですが、時代小説や歴史ドラマ、漫画などで登場人物のキャラクター(性格)を表す言葉として使われることがあります。昼行灯という言葉の意味を知っておくことで、文章や台詞の意味がスムーズに理解でき、より深く作品を楽しむことができるでしょう。
課長さん
部長は昼行灯なのに、高給取りだなんて不公平だよ。
よしこ
あの人は昼行灯で、何を考えているのかさっぱりわからないわ。
不敵くん
会社の先輩が昼行灯だから、フォローするのが本当に大変!
のんびりした人や役にたたない人、そんな相手に困っているという意味が昼行灯という言葉には込められています。
ネガティブなイメージがあることに注意しよう
昼行灯という言葉は、そのまま漢字の意味をとらえると昼間についた照明ということですが、通常は比喩的に使われるため「役に立たない人」「ぼんやりした人」「存在感が薄い人」といったネガティブなイメージが含まれています。
『忠臣蔵』の大石内蔵助が昼行灯と呼ばれていたことはよく知られています。そのせいもあって「昼行燈」とは、「能ある鷹は爪を隠す」という言葉のように「ぼんやりとしていて役立たずに見えるが、実は才能を隠し持っている人」のことだと誤解している人も多いようです。
しかし、そうではありません。昼行燈は、あくまでも相手を嘲笑して言う時などに使われる、悪い印象を表す言葉だということは知っておきましょう。昼行灯という言葉を誤った意味で理解して、褒め言葉として使うことがないよう注意してください。
お母さん
見下されたと誤解されて、相手と険悪な仲になると大変だよ!
昼行灯の類語と対義語
昼行灯の類語
昼行灯と似た意味を持つ言葉を紹介しましょう。
脳天気 | のんきで安直なこと |
鈍感 | 感じ方がにぶい、気がきかないこと |
役立たず | 役に立たない人や物 |
- 妹は仕事でミスをしたというのに、不思議なほど脳天気だ。
- 彼は鈍感で話が通じない。
- 後輩は、仕事中もスマホばかり見ていて役立たずだ。
昼行灯の対義語
昼行灯の対義語としては、次の言葉が挙げられます。
勤勉 | 勉強や仕事をまじめに一生懸命にすること |
聡明 | 頭が良くて理解が早いこと |
- 彼は入社してからずっと変わらず勤勉だ。
- 彼女は本当に聡明な人だ。
昼行灯の意味のまとめ
日常生活の中であまり使われることがない「昼行燈」という言葉ですが、役に立たない人、ぼんやりとした人といったネガティブな意味が含まれています。
なかには、大石内蔵助や『必殺仕事人』の中村主水のキャラクターのような、実は隠れた才能や有能さを持つ人を褒める言葉として使っていることもあるようですが、正しい使い方ではありません。
本来は、人をからかったり嘲笑するようなネガティブな言葉なので、間違って使うと思わぬ誤解を招く恐れもあります。「昼行燈」という言葉を使う場合には、意味をしっかり理解したうえで正しく用いるようにしましょう。