「苦悩の梨」とは?禁断の拷問器具の使い方や使用例を紹介

「苦悩の梨」とは?禁断の拷問器具の使い方や使用例を紹介

「苦悩の梨」は16~18世紀ヨーロッパで考案された拷問器具です。神への冒涜、同性愛、魔女狩りなどで捕えられた被疑者に自白を強要するため口、肛門、膣から挿入されたとされます。本記事では「苦悩の梨」の名称の由来、使い方などを紹介、本当に使用されたのかを考察します。

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  1. 1「苦悩の梨」とは?
  2. 1.1名前の由来
  3. 1.2「苦悩の梨」の別名
  4. 2「苦悩の梨」の使い方は?
  5. 3「苦悩の梨」の使用目的は?
  6. 3.1神への冒涜者に対する罰
  7. 3.2同性愛者への罰
  8. 3.3魔女狩り
  9. 4「苦悩の梨」は本当に使われていたのか?
  10. 5まとめ

「苦悩の梨」の使用目的は?

「苦悩の梨」は、自白を強要するための拷問に使われました。

恐ろしい拷問器具を見せるだけで、進んで罪を自白する者もいました。同時に、拷問の恐怖や苦痛から逃れるため、嘘の自白をしてしまう者も少なくなかったといいます。「苦悩の梨」を見せられたら最後、真実など関係ありません。拷問の目的は真実の追求ではなく、執行者が望む供述の強要でした。現在では想像もできない蛮行です。

神への冒涜者に対する罰

教会の教えに背くことは神への冒涜であり、厳しく罰せられた時代でした。

教会の教えに背き神を冒涜したとされる者は異端審問にかけられて改宗を求められ、応じなければ処刑されました。国王でさえ、教会の教えには逆らえませんでした。

神を冒涜した者は二度とその口が使えないように口に「苦悩の梨」を入れられて拷問され、さらに食べることも許されず餓死したといいます。

女神さま

女神さま

英仏100年戦争でフランスを救ったオルレアンの19歳の乙女ジャンヌ・ダルクは、1431年5月30日、異端再犯の罪で火刑に処されました。しかし1456年7月7日には、ジャンヌの復権裁判で処刑判決の無効が宣言されました。現在ジャンヌは世界中の人々から、聖人として愛されています。

堕天使・リリス

堕天使・リリス

アイルランドでは、神聖とされる物事をはなはだしく罵倒・侮辱すると「神への冒涜罪」で320万円以下の罰金が科せられたの。でも、2018年に廃止されて、現在は神への冒涜罪で起訴されることはありません。1937年以降は神への冒涜罪で起訴された例がなく、時代遅れの法律だったのよね。

同性愛者への罰

Photo bygeralt

中世ヨーロッパにおいて、同性愛は神の教えに背く行為でした。

結婚とは男性と女性が神の前で契約を交わし、神の祝福を受けることです。中世ヨーロッパでは男性は男性らしく、女性は女性らしく振る舞わなければいけませんでした。性倒錯者や同性愛者は激しく糾弾され「苦悩の梨」を肛門に入れる拷問を受けたといわれます。男性と女性が厳格に区別されていた時代において、同性愛など絶対に許されないことでした。

堕天使・リリス

堕天使・リリス

宗教の歴史には光と闇があるのです。

魔女狩り

悪魔と契約を交わした魔女こそ神に仇なす存在であり、魔女とみなされた者は焚刑に処されます。永遠の楽園で生まれ変わるには肉体が必要です。そのため、キリスト教は火葬を執り行わず土葬にしますが、魔女であると判決が下された者は火刑ですから、死後の生まれ変わりさえも拒まれたのです。

もちろん魔女狩りも根拠などありません。多くは密告によるものでした。気に食わないとか喧嘩をしたという私怨だけで、魔女だと密告をされることもあったようです。魔女裁判にかけられたら魔女だと認めるまで拷問は続くのです。「苦悩の梨」はこの拷問に使われた最悪の器具の一つとされています。

耐え難い苦痛と恐怖とともに魔女として処刑された人は15~18世紀の間に4~6万人ともいわれています。また、日本では「魔女狩り」と訳されていますが、悪魔と契約したとされ処刑された人の中には男性も含まれていたそうです。

魔女の疑いを持たれた女性は悪魔と密通したとみなされて、膣に「苦悩の梨」を入れられ過酷な拷問にかけられました。そのほか不貞を働いた女性に対しても同様の拷問を行っていたといわれています。

堕天使・リリス

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魔女裁判で使用されたとされる拷問具を紹介している動画よ。49秒あたりから「苦悩の梨」も紹介されているわ。

「苦悩の梨」は本当に使われていたのか?

実は、「苦悩の梨」が実際に使われていたかについては疑問視されています。

当時の技術では使用に耐えうる強度を確保できないという説で、体を破壊する前に「苦悩の梨」が壊れるだろうというのです。体内で広げても「苦悩の梨」が破損したら引き抜けなくなるし、口や肛門、膣を破壊するなら、もっと安価で単純な構造の道具でも十分でしょう。

拷問器具であるはずなのに「苦悩の梨」の表面は滑らかに加工してあり、細かくサイズを調整できるなど人体に優しい作りで、さらに綺麗な装飾も施されています。そのため、実際には拷問に使用したのではなく、見せることで恐怖心を煽り、自白を強要するのが目的だったともいわれているのです。

また、使用するにしても死に至るような激しい苦痛を与えるのではなく、口に挿入して声を出せなくし、食べることも水を飲むこともできない飢餓の状態にするのが目的だったという説もあります。本人の前で美味しそうな食事を見せつけ、苦しみを増幅させることもあったようです。

堕天使・リリス

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「苦悩の梨」が激しい拷問に使われていなかったかもしれないと聞いてホッとしたでしょう!?
でも、「苦悩の梨」とよく似た器具は現在でも使用されているのよ。

「苦悩の梨」が過酷な拷問に使われたということについては懐疑的ですが、現在も医療機関で使われている器具があるのは事実です。医療機関で拷問器具とは穏やかではありませんが、産婦人科で使われる桜井式膣鏡やクスコ式膣鏡は「苦悩の梨」と似たような仕組みの医療用器具で膣や子宮内の医療処置、膣式手術などに使用されています。

まとめ

使っているシーンを想像するのもおぞましく恐ろしい「苦悩の梨」ですが、実際は激しい拷問に使用されていなかったと知り、安心した人も多いでしょう。しかし、飢餓状態にする目的で使用された可能性はあり、その場合も大変な苦痛を与えます。

いずれにしても、公正な裁判で法に沿った判決を言い渡される現在とはずいぶんと違うものです。日本では神仏や教会の教えよりも人命が尊ばれますが、残念ながら今現在もすべての国がそうだというわけではありません。

堕天使・リリス

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
ちなみに、日本では憲法第36条で公務員による拷問について「絶対に禁ずる」とされています。当然、個人で拷問をすれば違法になります。

女神さま

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