「赤の女王仮説」とは?
赤の女王仮説とは「絶えず進化していなければ絶滅するという仮説」です。
この仮説は主に軍拡競争と生殖活動の2つの異なる進化現象を表しており、「赤の女王競争」「赤の女王効果」「アリスの徒競走理論」と呼ばれることもあります。
また、生物理論では、生物は周囲の環境や他の種の進化によって絶えず平均的に生息する環境が悪化しており、そのため、常に進化し続けていなければ絶滅に至るという仮説です。
わかりやすい例
分かりやすい例としてよく使われるのは捕食者と被食者の軍拡競争があります。
もし、被食者が捕食者より素早く逃げる能力を獲得したとすれば、捕食者今まで通りにエサを取るためには、より速く走れるように進化しなければならないという話です。
フロイト先生
この話をわかりやすく説明するには捕食者をライオン、被食者をシマウマと考えるといいんじゃよ。
ノワールちゃん
つまり、シマウマがライオンより素早く走る能力を手に入れたとしたら、ライオンはさらに早く走れないとエサを取れないから、早く走れるように進化する必要があるということね!
「赤の女王仮説」の由来
赤の女王仮説の由来はルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』にあります。
この小説に登場する赤の女王のセリフ「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」が、種が生き残るには絶えず進化しなければならないという赤の女王仮説の元です。
赤の女王仮説は1973年に生物の分類単位である「科」を研究していた人物リー・ヴァン・ヴェーレン氏により発表されました。
生殖における「赤の女王仮説」
生殖における赤の女王仮説は「生き延びるには、遺伝子型を変化させ続ける必要がある」ことを指します。
生殖には有性生殖と無性生殖の2種類が存在しますが、有性生殖ではオスとメスが交配をするため、お互いが出会う必要があり、性的に成熟した個体と出会っても半分は交配に至りません。そのため、有性生殖の生物は無性生殖の生物と比べ、繁殖効率がとても悪いです。
しかし、なぜ繁殖効率の悪い有性生殖が現代まで生き残ることができたのでしょうか?
その理由は、有性生殖の方が進化のスピードが速いからです。無性生殖に比べ遺伝子の組み換えスピードが速く多様な遺伝子セットを作り上げられる有性生殖は、感染症や環境の変化に素早く対応し生き残ることができたと言われています。
フロイト先生
赤の女王仮説は今までの古典的な種やその他の集団レベルにおける進化を認めてきた考え方とは対照的に、有性生殖ならではの利点を遺伝子レベルで説明できるんじゃ。
ビジネスにおける「赤の女王仮説」
ビジネスにおける赤の女王仮説は「常に、社会環境や顧客のニーズの変化に対応していかなければ生き残れない」ことを指します。
ビジネスの世界では変化しないことがリスクと言われるほど、企業は社会環境や顧客のニーズの変化に対応していかなければならなりません。そのため、常によりよいサービスを提供するために何かを生み出し続ける必要があります。
1つのサービスを提供したらそこで終わりではなく、永遠にさらに良いサービスを提供し続けていかなくてはならないため、この現象をアリスの徒競走理論と呼ぶこともあります。
まとめ
赤の女王仮説は「絶えず進化していなければ絶滅するという仮説」ですが、注意が必要なのは絶えず進化しても、結果としては現状維持ができるだけという点です。
もし他の種より有利な立場に立ちたいのであれば今の2倍以上の進化が必要であり、ビジネスの場面であれば他の企業よりも2倍以上の進化をしなくては上に行くことはできません。
赤の女王も小説の中で「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」と言った後に「もし他のところへ行きたいのなら、その2倍の速さで走らなくてはならない」と言っています。
ノワールちゃん
「赤の女王仮説」についてはしっかり理解できたでしょうか?最後まで読んでいただきありがとうございました。
赤の女王仮説まとめ
- 赤の女王仮説とは「絶えず進化していなければ絶滅するという仮説」
- ルイス・キャロルの小説「鏡の国のアリス」に登場する赤の女王のセリフが由来
- 「赤の女王競争」「赤の女王効果」「アリスの徒競走理論」とも言われる