日常生活
社会主義政権下では、物資が不足し生活必需品を手に入れるのにも長い行列に並ばなければならず、市民はこの生活に不満をもっていました。そんな不満をぶつけたアネクドートを紹介します。
「アダムとイブはロシア人だった!」
ロシアの学説「アダムとイブはロシア人だった!着るものもなく、移動も許されず、食べるものはリンゴだけ、まさにロシア人のことではないか。」
フロイト先生
行列に並ぶ
市民がパンを買うためには、長い行列に並ばなければならない。
ついに、1人の男が怒り「もう我慢の限界だ。俺はゴルバチョフをぶっとばしに行くぞ。」と叫んだ。
しばらくして、しょげた顔のその男が帰ってきた。並んでいた人が皆「殴ってきたのか?」と聞いた。
その男はこう答えた。「そっちにも行列が出来ていたんだ。」
マイルド君
このアネクドートは、物が不足していて何を手に入れるにも行列に並ばなければならないことへの批判と、市民生活がちっともよくならないことに不満を持っている人々がどれだけ多いかを表しているエピソードってわけだな。
犯罪や国家機密
旧ソ連では、厳しい言論封殺や思想の統制が行われ、無実の罪で投獄される人も多くいました。そんな状況を批判したアネクドートを紹介します。
無実の罪
かつては多くの政治犯がシベリアへ送られていました。
ある1人の男が強制収容所に送られてきました。囚人たちが「お前は懲役何年の刑だ?」と聞きます。男は「20年だ。何も悪いことはしていないのに…」と答えます。
すると、また他の囚人が言いました。「そんなことはあるまい。無実の罪の相場は懲役10年だぜ。」
フロイト先生
無実の罪であっても、疑いをかけられたら厳しく罰せられてしまう社会主義政権下の抑圧された理不尽な状況への不満をぶつけたアネクドートだな。
「アネクドート」を生んだロシアの背景
社会主義政権下のロシア(旧ソ連)では、言論の自由がなく大っぴらに政治批判を行うことは重罪を意味していました。こうした環境の中で本や雑誌も検閲され、風刺漫画雑誌「クロコジール」は本や雑誌の中で唯一政治風刺が認められていて人気を博していました。
しかし、政治体制や政治家を批判するような小噺やジョークを個人で行うことは危険を伴うものでした。言論の自由がない環境であるため、逆に笑いとユーモアというオブラートに包んだ強烈な風刺が生まれ、発展していきました。
現在のロシアではこのような言論抑制はありませんが、アネクドートは政治体制から政治家そのものや国際政治、新ロシア人(社会主義政権崩壊後に登場した新興成金ロシア人)に主な対象を変え、ロシア人に愛される風刺のきいたジョークや小噺として今も根強く残っています。
まとめ
ロシアのアネクドートは、市民の政治や生活への不満が高まり昇華した結果生まれたものです。その思いが、笑い話やジョークの形をとった鋭い風刺や批判となって発展していきました。言論の自由がない国ほど面白い政治風刺が生まれると述べたジャーナリストもいます。
今のロシアは抑圧された環境下ではありませんが、その機知に富んだ文化は受け継がれており、今後も優れたメッセージを持った人々を楽しませるアネクドートが登場してくることでしょう。
フロイト先生
アネクドートの面白さが君には伝わったかな?
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
アネクドートには、本当に色々なものがあるんだ。アネクドートについて書かれた本を紹介するので興味のある方は読んでみてください。
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旧ソ連時代の物資が不足し、自由がない状況を暗に批判しているんだな