甲論乙駁とは?
後進国の例にもれず、芸術性と啓蒙性がいたるところで混同されている例は、戦争中の御用文学にあらわれ、今日また平和運動と文学とあいまいな関聯を皆がつきとめないで甲論乙駁している情景に見られるのである。-戯曲を書きたがる小説書きのノート-
— 三島由紀夫bot (@MISHIMA_ESSAY) March 26, 2020
「甲論乙駁」という四字熟語を一度でも聞いたことがあるでしょうか。
「甲論乙駁」という曲が存在しているため、もしかしたら見たり聞いたりなどしたことがある人もいるかもしれませんが、かなり少数なのではないでしょうか。
一般的な書物や日常会話ではあまり使われることがない「甲論乙駁」という四字熟語について、さまざまなことを調査しました。
「甲論乙駁」の読み方や詳しい意味、由来、そして「甲論乙駁」の対義語、類義語は何があるのかなどいくつか調査し、まとめました。
甲論乙駁の読み方・意味
「甲論乙駁」の読み方は「こうろんおつばく」です。
意味は「お互いに意見を主張し合うため、議論がなかなかまとまらない様子」です。
「駁・駁する」との違い
「駁・駁する」という言葉も存在しますが、「駁・駁する」という言葉は「他人の主張などに対して反論して攻撃する」ことを意味しています。
つまり、「甲論乙駁」がお互い攻撃し合ってまとまらないのに対し、「駁・駁する」というのは一方的に攻撃している様子を表しています。
甲論乙駁の由来
契約書や誓約書など正式な書類でで見かけることの多い「甲」と「乙」という文字ですが、「甲論乙駁」の由来は「甲の人が何かを主張すると乙の人が必ず反論する」というものであると言われています。
また、「論」という文字には「主張をする」という意味が込められており、「駁」という文字には、「攻め正す」、「他人の主張を否定し攻撃する」などの意味を持っています。
そのため、「甲論乙駁」は「お互いに意見を主張し合うため、議論がなかなかまとまらない様子」などお互いが譲ることなく議論を繰り広げる様子を示しています。
甲、乙は十干十二支に由来します。
干支について知りたい方はこちらのページをご覧ください。
甲論乙駁の類語と対義語
「甲論乙駁」の類義語、対義語となる四字熟語はいくつか存在します。
「甲論乙駁」の類義語には
・議論百出(ぎろんひゃくしゅつ)
・議論沸騰(ぎろんふっとう)
・議論紛紛(ぎろんふんぷん)
・諸説紛紛(しょせつふんぷん)
などが存在します。
「甲論乙駁」の対義語には
・衆口一致(しゅうこういっち)
・満場一致(まんじょういっち)
などの四字熟語が存在し、「甲論乙駁」とは反対の意味である「全員の意見がまとまっている」ことを示しています。
甲論乙駁の使い方
日常生活の中で目にすることや、耳にすることのまずない「甲論乙駁」という言葉ですが、実際はどのように会話や文章など使われているのでしょうか。
気になる「甲論乙駁」のさまざまな使い方を例文を用いて、いくつかご紹介していきます。
甲論乙駁の例文①
「さっきの話し合いでは甲論乙駁してしまい、今日中に物事を決定することが出来なかった」
会議や学校での話し合いなど、お互いが主張し合ったために物事を決定することが出来なかったという例文です。
話し合いに決着がつかず、ヒートアップしてしまい互いに言い合いになってしまうという場面に遭遇することがあるかもしれません。
そういった場合には、この状況こそがまさに「甲論乙駁」であると頭の片隅で思い出してみましょう。
もしかしたら少しは落ち着いて議論が出来るようになるかもしれません。
甲論乙駁の例文②
「今回の会議では甲論乙駁してしまったため、もう一度双方意見をまとめてから会議を開くことにしようと思う」
お互いが相手の主張に対して反論し合うばかりで、話し合いにならなかったことを意味しており、もう一度意見を整理してから会議を開くことにしようという例文です。
「甲論乙駁」は双方が攻撃的にな思考に陥っており、お互いに意見をぶつけ合いすぎていることも示しています。改めて会議を開くことで落ち着いた会議が開けるだろうという思いも込められた例文になっています。
甲論乙駁の例文③
「私たちの予想に反して今回は甲論乙駁にはならなかった」
お互いが主張し合いなかなか決着がつかないと思われていた物事が、意外とスムーズに進みあっさり結論が出たという例文です。
甲論乙駁の例文④
「 甲論乙駁の結果、口案は採用となり、機動隊はにわかに忙しくなった」
これは元警察・防衛官僚で危機管理評論家であった佐々淳行の著書『連合赤軍「あさま山荘」事件』からの例文です。
「あさま山荘事件」とは1972年に長野県軽井沢町の「浅間山荘」で連合赤軍が人質をとり、数日にわたって立てこもったという歴史的な事件です。
この事件では警察がどのように連合赤軍と立ち向かうかを巡り、さまざまな主張がぶつかり合った結果、ようやく結論が出てこの事件に終止符が打たれました。この例文はその時の様子を表した文章になっています。
「甲論乙駁」という言葉は現代の書物より、昔の書物に登場してくることが多く内容も難しいものが多い傾向にあります。
甲論乙駁の読み方・意味
- 読み方は「こうろんおつばく」
- 意味は「お互いに主張し合って議論がまとまらない様」
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